農people file.08 大崎美保子さん
綾町のおとなり高岡町出身の大崎美保子さんは結婚後県外で子育てと仕事をし、20数年前、旦那さんの退職を機に綾町に住み農業を始めた。
「主人が山だの川だので遊びたいって言ってね…あたしは都会の方が好きだから、、本当は戻ってきたくなかったのよ」
宮崎に帰って農業をする。と言ったご主人は2年前に亡くなり、2人で始めた農業を今はひとりで続けている美保子さん。農業、嫌なのかなぁと思ったけど…
そう話してくれたのは美保子さんの”お隣りさん”の、塩月ぬいこさんだ。
ぬいこさんは車の運転のできない美保子さんに代わって野菜の納品に行ったり病院に連れて行ったりしてくれている。
”お隣さん”と言っても2人の家は100メートルくらい離れていて、その家と家の間が美保子さんの畑…というか2人の…庭。と言った方がしっくりくるしつらえになっている。
真ん中の大きな栗の木の下は一面クローバー。
「かわいいでしょ?こないだまでここが畑だったんだけど、収穫が終わったから土を休ませてるの。」
クローバーの奥が今シーズンの畑。その奥にはぬい子さんの栗林が広がっている。栗林の下にはレンゲの種を撒いたらしい。春になったら一面ピンクになるわよ〜と楽しそうなぬい子さん。
美保子さんは黙々と作業をしながらも時々これはこうやって食べるのよ…なんて教えてくれる。(料理もとっても上手らしい。)
最初の言葉が気になって、「農業、楽しいですか?」と聞いてみた。
綾町が実践する自然生態系農業は虫との戦いだ。
「虫が食べるほど美味しい野菜」なんて言うけれど虫がついていたらやっぱり嫌である。農薬を使えば虫は来ない。けれど農薬は使わない。その代わり美保子さんは朝と夕に畑を見回る。優しく葉に触れ、虫がついていないかを見て回る。きっとお野菜を袋に詰める時みたいに、心の中で「美味しく育つのよ」って話しかけてるに違いない。
すごく広いというわけではない。2人のちょうどいい庭(畑)。季節ごとに色が変わり、様々な花や実が(あ!野菜も!)なる楽しい庭。
女2人、ほど良い距離感で助け合って、こんな風に暮らすのもいいな〜なんて思うふるさと納税係なのでした。